空気を読めない幼馴染みの襟首を掴んで引き下がらせた時、はたと気づいた。
「そういえば、大変なのよね、アナタも……。今野先輩、最近部活に出てないそうじゃない」
「……聞いてるのね」
「まあ、ね」
今野が所属しているのは茶道部である。茶道部は学園内でも弱小なため、そもそもの人数が少ない。今野も、二年生の春にしてすでに次期部長は確定していた。そのさらに引き継ぎが一年の瀬戸岡亜美と暫定しているのも、部活の人数少なさゆえだった。
茶道部でも主幹を担うひとりである今野佐紀が、このごろあまり部活に参加していないのは事実である。
木霊の呪いが影響しているからか、学業と買い出し以外、外出を控えるようになったらしい。
木霊の四辻がどこなのか……木霊の出現場所が確定していないこの怪異には、外出を控えることが一番の対策だ。木霊は、四辻でしか囁いてこないのだから。
次期部長が休めば、次期次期部長が穴を埋める。忙しいだろうに、先輩を労いもする。瀬戸岡亜美が評価されるのはそういう、慈母のような性格もあってだった。
「ねぇ宮部さん」
と瀬戸岡亜美が首を逆へ傾げ直す。
「木霊の四辻って本当にあるの?」
「そういえば、大変なのよね、アナタも……。今野先輩、最近部活に出てないそうじゃない」
「……聞いてるのね」
「まあ、ね」
今野が所属しているのは茶道部である。茶道部は学園内でも弱小なため、そもそもの人数が少ない。今野も、二年生の春にしてすでに次期部長は確定していた。そのさらに引き継ぎが一年の瀬戸岡亜美と暫定しているのも、部活の人数少なさゆえだった。
茶道部でも主幹を担うひとりである今野佐紀が、このごろあまり部活に参加していないのは事実である。
木霊の呪いが影響しているからか、学業と買い出し以外、外出を控えるようになったらしい。
木霊の四辻がどこなのか……木霊の出現場所が確定していないこの怪異には、外出を控えることが一番の対策だ。木霊は、四辻でしか囁いてこないのだから。
次期部長が休めば、次期次期部長が穴を埋める。忙しいだろうに、先輩を労いもする。瀬戸岡亜美が評価されるのはそういう、慈母のような性格もあってだった。
「ねぇ宮部さん」
と瀬戸岡亜美が首を逆へ傾げ直す。
「木霊の四辻って本当にあるの?」