言葉としては予測だったが、まだ確実に部屋にいるだろう。

八木麻衣子はもちろんだが、今野佐紀も部屋を出ていないだろう。あの護符を胸に抱き締めた時、今野佐紀はもう、部屋を出られない。動けない。それだけの気力ももう残っていないと、簡単に想像できた。

「先輩達、だいじょぶかしら」

「あまり、大丈夫そうでもないわね。八木麻衣子は相当参ってそうだし」

「そうなの……。私、先輩達におかゆを作ろうかと思ってるんだけど、宮部さん、どうかしら?」

「おかゆ?」

ビニール袋から覗いているネギはそれに入れるのだろうか。

今野佐紀はおそらく、食事ならなんの支障もないだろう。が、対人恐怖症まで起こしている八木麻衣子が、瀬戸岡亜美を迎えるだろうか。

「瀬戸岡さん瀬戸岡さん、俺も腹減ってるんで、ぜひ俺にもおかゆを!」

「うっさい。アンタは黙って」