膝と全身を使って衝撃を緩和していた燈哉は、筒状の風船が下から空気を入れられるように、ゆらりと姿勢を正した。ズボンのポケットに親指を引っかける。

「へんっ。逃がさねえよ、今野先輩。アンタにゃいろいろ聞きてえことがあんだ」

「ひ、は……」

「話してもらうぜ、八木先輩のこと。洗いざらいな。それでなくても、部屋には入れてもらう。あ、もしちゃーんと迎えてくれるってんなら、茶ぐらいごちそうしてくれな?」

「は――は、い……」

彼女はなにも悪いことはしていないだろうに。相手が小さくなっているせいで、燈哉の横暴さがよけいに際立っていた。

ルームメイトは神経衰弱に陥り、自分は自分で二階から飛び降りてくる男子に捕獲される。

「災難だわね、まったく」


などと、二階通路から今野が確保されるのを見ていたゆいは、溜め息とともにぼやいた。