螺旋坂をのぼり、とりあえず学園に入ったゆいは、広い庭を歩きながら訊ねた。

「その木霊の四辻、どこにあるの?」

「さあ」

「被害者ははっきりしているんでしょう?」

怪談や七不思議の被害者はたいてい、どこのクラスの誰とも知らない人物だが、今回は名前まで割れている。

つまり、被害者に直接訊ねれば、木霊の四辻の場所はわかるはずである。まさか、燈哉がそれを調べていないとは思えなかった。

「ああ、被害者ははっきりしてるし、それぞれがこだまを聞いた場所も割れてるんだが……こだまの出現ポイントがはっきりしねぇんだよ」

「どういうこと?」

「つまり、出現するポイントが限定されてるわけじゃない、ってこった」

「……めんどくさいわね」