成海くんは、私を見つめて、真剣な顔で話し始めた。




「お父さんから、駅前で美音を車から降ろした日、泣いて帰ってきたって聞いた。

もしかしたら、塾から出てきたのを見たんじゃないのか?」





成海くんは少し、怒っていた。




「見た…

綺麗な女の子と楽しそうに話してた」

私は成海くんから目をそらした。



成海くんは私のほっべを触った。



「美音。こっち向けよ」


私は恐る恐る成海くんの目を見た。



「あいつは俺のいとこだ。塾がたまたま一緒で、久しぶりに話しただけだ。

もうひとりの女は、一緒にいた友達の彼女だ。

美音、全くの誤解だ」





いとこ…




「いとこと言っても、美音に誤解を与える行動をとったことは謝る。

ごめんな…美音。

でもすぐに話せば、わかりあえたはずなんだ。

なんで電話に出なかった?」




「私…」