玲の小国征伐が始まったのは初夏であった。坤は玲の一部と化し、玲の手足として動いている。



漣犀もまた、小国征伐の一員として出陣を繰り返していた。
或るときは騎馬で戦場を駆けた。
また或るときは船で水上要塞を陥落させた。


しかし、あの 人を殺す感覚。

あれだけには、馴れるとは思えなかった。埋もれる槍、肉を斬った剣。吐きそうだ。これはまだ、自分が狂っていない証拠なのだろう。


久しぶりに春鈴の隣で眠ったとき、春鈴は顔をしかめて漣犀に言った。

『鉄臭い』。

そうだった。春鈴も藍侫もそうだったのだ。