「…そちは、どう思った」


玲瑛は自分の隣で警護を続ける男に問う。片目の潰れたこの男は一般兵から成り上がった男だった。実力は確かであり、玲瑛の理解者でもある。だからこそ、玲瑛はこの男をこの立場に置いた。名を、趙藍侫と言った。


「榛は何を企んでいるのか、不気味でございます」

頭を下げながらそう答えた藍侫に頭を上げさせる。真っ直ぐに、自分を見詰める左目は、黒真珠の様に深い。

「…そうだな、あの奇襲は滅亡を少しでも遅らせようとするだけの物に過ぎない。その遅延された期間で、あやつらは何をしようというのか…」


王座に凭れ、玲瑛は思案を巡らせた。