玲が榛を返り討ちにするという形で、この戦は終結した。しかし、兵を幾分か損ない、榛への攻撃は少し遅延となる事になった。…榛の思惑通りだ、と玲瑛は下唇を噛む。



「榛奸が………」


口汚く罵る言葉が、その秀麗な唇を割って出て来る。

この戦で、天下への道がまた一つ遠退いた。幾ら玲瑛が若いからとは言え、残された時間も決して充分ではない。若すぎる彼には跡取りもおらず、またこうしている間に老賢臣がひとりひとりと欠けていくのも知っていた。