「…何故ですかッ!」

「…お前は初陣だ。指揮官として頼りないが…この突発的な戦に勝つ自信は無い。まだ若いお前を、死なせたくはない!」

「………嫌です。俺は、戦います」

「甘えるな餓鬼が!戦を舐めるな!」

一喝を受けたが、漣犀は食い下がる。


「俺は、あなたが、春鈴様が死ぬのを見たくありません!…あなたが負けるなど考えられませんが、俺はあなたの、右腕、せめて右足位にはなりたい。戦が生易しい物ではない事など知っていますッ!ならば、どうして俺を戦場に赴かせようとなさったんですか!」


ぐ、と春鈴は呻く。反論が、出来なかった。

「…煩い、勝手にしろ!」

そう吐き捨てた春鈴は、地図と資料の山に集中し始めた。