春鈴に連れられて来た王宮は、見たことが無い程に豪奢だった。

視界に写るものは全て赤と金で彩られている。

「…先王の遺物だ。あまり凝視するな」

「…はい」

春鈴が総大将に任命されてから、王は漣犀の事を耳に留めたらしく、是非会ってみたい、と言ったらしい。

勿論、男娼をしていた話は無かった事にしている。

誘われた先に見えた巨大な扉。春鈴が礼をすると、兵士は頷いて扉を開けた。

長い、敷物の先に有る王座。
頬杖をついて、口の端を吊り上げて笑う青年―玲の王・瑛。

まだ若い。漣犀とさほど歳は変わらない。春鈴の話では姿を見ただけで気圧されると言ったが、あまりそうは思わなかった。それは王が思った程では無かったのか、漣犀の器が凄まじいのか。

漣犀の凛とした姿に、両脇からは感嘆の声が上がった。