「何でしょう」

真剣な表情で彼女が言う。だから、思わず漣犀は身構えた。

「この度の榛討伐戦、私が総大将になった」

一瞬目を見開いた後、漣犀は蕾が綻ぶかのように微笑んだ。

昔の様な冷えた微笑ではない。まるで陽光の様な笑みであった。

「おめでとうございます」

「…あぁ」

「どうしたんです?」
嬉しくないのですか、と問われて、春鈴は違う、と首を横にゆっくりと振った。