「漣犀!」

主の帰宅に、使用人達が動き出すのが分かった。その主が、自分を呼んでいるのも。

「お帰りなさいませ、春鈴様」

頭を下げて挨拶をすると、彼女は苦笑し、堅苦しい挨拶はやめてくれないか、と言った。

「先程迄王宮に居たんだ。肩が凝っていると言うのに」

「それは申し訳ありま…ごめんなさい」

「申し訳無いな、お前には苦労を掛ける」

「いえ。元があんな身分だったものですから」

「…そうだな。ところで、剣の手入れは終わったのか?」

「はい。【戴天】もようやく俺の手になじんできた様で」

「そうか」

小さく微笑し、彼女―春鈴は椅子に腰掛けた。


「話が有る」