『…凌。』
『…ッ!』
驚いた凌が緋爾花ちゃんを離してあたしを見つめた。
そう。
分かったよ。
今までのは、全部遊びだったんでしょ?
あたしみたいな騙されやすい女が便利だったんでしょ?
気持ちが通じたと。
あたしが凌の彼女だと。
浮かれていたのはあたしだけ。
勘違いをしていたの?
ねぇ。
全部嘘だったの?
それでも……
あたしは凌が好きだよ?
『…ッ…ヴッ…』
ポタポタを熱い涙が頬を伝う。
『…結李空。』
あたしの名前を呼ばないで。
あたしに、近づかないで。
あたしに…優しくしないで。
また。
勘違いするから。
あたしは、走って部屋から出ていった。