「ねぇ…どこに行くかいい加減教えてよ」



車の中で再度、私は聞いた。



私だけ知らないなんて少し悔しいもん。



「教えてほしい?…なら、お願いのキスは?」


達也はイタズラっぽく言う。



「結構です!」


私は即答して窓の外を見た。



いつもそうだ。
何かある度にいつも言われる。

私が出来ないのを知っているから。



私は車窓から外の景色を見る。

どんどん知らない景色に変わっていく。



景色を見てると、どんどん瞼が重くなってきた。



そういえば昨日は眠れなかったっけ。



そして私は、いつの間にか眠っていた。