「…このままでいいから話を聞いてくれ」



ドアを叩く音が止んだ。



「優羽…今まで婚約のことや同居のこと黙っててごめんな…」


ドアの向こうから聞こえる声はいつもの父さんとは違う弱々しい声。



「でも…これは優羽の成長のためなんだ。優羽にはもっといろんなことを知ってほしいんだ」



私は涙を拭った。


「…そっそれと婚約がどういう関係があるの…?」



私にはそれと婚約が繋がってるとは思えない。



「それは…いずれわかる」



何よそれ…



「優羽!」



次はお母さんの声。



「お父さんね、今はこんなこと言ってるけど最初は婚約も同居も大反対だったのよ!」



お母さんは笑いながら言った。