「お前でも
俺のことを“王子”なんていうのか?」
「っ、ごめん」
その目があまりに鋭くて、反射で謝ってしまう。
「いや、謝らせたいわけじゃないんだけどさ…」
「だって、ごめん、
李音、“王子”って言われるの一番嫌いだよね?」
そう、彼が親衛隊にちやほやされるたび、
普通科の王子と呼ばれるたび、
嫌な顔をしていたのには気づいていたのに。
からかい半分で言ってはいけないだったのに。
そんな風に、自己嫌悪に至っていたら
彼は、く、と一声漏らして、そのまま勢いよく笑い出した。
「な、なに!?」
「いや、はは、やっぱ、お前。」
はぁ~とひとしきり李音は笑って、息をついて。