やばい、泣きそう。
せっかく恭ちゃんに久しぶりに会えたのに。
笑顔でいっぱい話したかったのに。
恭ちゃんに彼女が出来たことなんか、修から聞いてとっくに知ってたことなのに。
恭ちゃんが私の知らない女の人と抱き合ったりする事、そんなの責められることじゃないのに。
…どうか恭ちゃんに気付かれませんように。
明日一緒にプリクラ撮ろうって約束してたのに。
こんなんじゃ…
「あら?さっちゃんどうしたの?具合でも悪い?」
平気だって言わなきゃと思えば思うほど、目頭が熱くなる。
とたんに不機嫌になる恭ちゃんの顔。
「何だよ、そんなしけた顔して、せっかく帰ってきたのに気分わりぃな。」
「ごめ…」
言い終わる前に席を立った恭ちゃんに慌てて修が駆け寄る。
「恭兄待って、どこ行くんだよ。」
「飲みに行ってくる。」
「まったく、あの子は相変わらずねぇ、ごめんね、さっちゃん。お母さんには連絡しておくから、ゆっくり休んで行ってね。」
俯いたまま、玄関がしまる音が響いた。