「・・・というわけで、狐さん?」


「狐さんではない。わしには蓮華という名前が・・・」


妖怪って名前持ってるんだ。


私、絶対『妖怪・化け狐』!とかそんなんだと思ってたのに。


「とりあえず、狐。神社に入るぞ」


「蓮華だと言っておるのに・・・」


さすがお母さん。狐さんの意見はまったく無視で、そのまま神社へずかずか入っていった。


それに続き、私と狐さんも神社へ入った。


「で?」


開口一番お母さんは狐さんにそういう。私も、色々聞きたいんだけどね。


「で?と申されても・・・」


なんだか狐さんウチのお母さんに押されてる・・・



見えないのに会話が成立してる。妖怪は何か妖気的なものが出ていて分かりやすいのかな?


「あ、あのっ」


「何じゃ?えーっと・・・」


自分の名前を名乗っていなかったことに気付く。


「杏里です」


「あ、あぁ、杏里殿」


「いや、普通に杏里でいいですけど・・・」


殿って何!?私そんなにすごい人じゃないのに!?


「えっと、狐さんって、具体的に何をするんでしょうか?」


「だから、蓮華だって言っておるのに・・・」


狐さんがつぶやいた。私に、その声は届いていなかったけど。