「おい」
降りてきた狐の妖怪は何かを呼んでいるようで。
・・・決して私ではない。
気のせいだよね?
「おい、貴様」
呼ばれてない、呼ばれてない。妖怪に知り合いなんていないもん。
「そこの女」
そこの、女?女って私?
い、いや、私以外に女の子いる・・・訳ない。
つまり、私・・・?
「ごごごごごごご、ごめんなさああぁあぁぁぁぁあいいい!!!!!!」
私はこれでもか!というくらい全力で神社のほうへ駆け抜けていった。狐のことなど無視をして。
「あの女・・・」
その、狐は彼女を悲しそうな目で見つめ、
「桜・・・」
そう、言った。