「ごめんね、海里。……ごめんなさいッ」


嗚咽交じりに何度も謝った。

今日は『大好き』をいっぱいあげたかったのに。


そんなあたしを優しい眼差しで見下ろしながら、海里が優しく指で涙を拭ってくれる。


「謝るな」

「だって……」

「オレ嬉しいから、今」

「え?」


海里の顔を見上げた瞬間、唇に柔らかい感触。

触れるだけの、温かくて優しい海里の唇。

あたしの大好きな、海里の唇。


その唇が離れると、再び広い胸に抱きしめられた。


「スゲー嬉しい。美海がそんなに悩んでくれて」

「どうして?イヤじゃないの?」

「イヤ?なんで」

「だって…過去のこと、どうしようもできないのに嫉妬したり……」

「うん」

「今は友達かもしれない人のこと、名前で呼ぶのもイヤって言ったり……」

「それから?」

「信じてるのに…疑ったり……」


最後の言葉を聞いて、海里は身体を勢いよく離した。


「疑うって……浮気?」


返事の代わりに黙って頷いた。

その後ものすごい後悔に襲われたけど、今更もう遅い。


海里はしばらく黙っていたけど、突然口を開いて、たった一言こう言った。


「ごめん、美海」

「え?」


それは何に対する謝罪なの?


まさか…浮気…?


それ以上何も言ってくれない海里に不安が募って、あたしは海里の身体を押しのけて寝室へ走った。


「美海!!」

「イヤッ!来ないで!!」