「寂しいのは父親だけじゃないよ?」
「え?」
「母親だって、大事な娘が遠くに行っちゃったら寂しいよ……」
「美海……」
今、ものすごく両親に会いたくなった。
一人娘のあたしをお嫁に出して、今のあたしたちと同じような寂しさを感じていたと思うから。
「オレは海斗さんや美加さんを、同じような気持ちにさせてるんだろうな」
「海里。……でも、あたしたちはすぐ会える距離にいるから」
「イヤ、距離とかそんなの関係ないよ。いつも側にいるわけじゃないから」
「……」
「大事にするから、海斗さんや美加さんのこと」
「もう十分してもらってるよ」
だってあたしの両親は、海里のことが大好きだから。
『自慢の息子だ』
それが最近の父の口癖。
だけど、嬉しい。
あたしの大切な人を、海里も大切に思ってくれることが。
「あたしもお義父さんとお義母さんのこと、もっと大事にするね」
「もう十分だろ」
もっともっと大事にしたい。
海里の大切な人たちを。
あたしたちは再びキスを交わしながら、ゆっくりベッドに身体を沈めた。
「ところでさ、これ……何?」
「え?…アッ!!」
海里が指差す先にあるのは、さっきお義母さんからもらった勝負下着。
海里が帰ってくるまでにどこかに隠そうと思っていたのに。
あたしのバカッ!!
「美海?」
「それ……お義母さんがくれたの」
「お袋が?」
「うん。海里の趣味が分からないから、選んでもらってって……」
「はッ!?」