忘れていたけど、今日はバレンタインだもん。

女の子が大胆になってもいい日だよね?


「海里、もっとキスして」


今度はあたしから、海里の唇を奪った。

海里は一瞬身体を震わせたけれど、力強い腕であたしを包んでくれた。


「海里…好き。大好き……」


言葉にして何度も伝えると、その度に抱きしめられた腕の力が強くなった。

キスが深くなった。

甘くなった。


そしてあたしの身体も心も、どんどん潤っていく。


「好き…好き…好き…」


海里のキスを全身に受けながら、さっきまであたしを支配していた不安の塊が、どんどん溶けてなくなっていくのが分かった。

だってとても感じるから。

海里自身を。


「美海、愛してるよ」


心と身体が、海里にスッポリ包まれてしまったから。

伝わってくる……


海里の深い愛情。


それを感じられるのは、世界中でたった1人。

ーーあたしだけ。


これはあたしだけの特権。

あたしだけの幸せの特権。


それから時間が経つのも忘れて、あたしたちは何度も何度も抱きしめあった。


何度も囁きあった『愛してる』の言葉。

何度も押し寄せてきた快楽の波。


気がついた時には、バレンタインデーが残り1時間になっていて。


「どんだけ盛ってんだ……オレたち」


顔を見合わせて笑った。