「オレも同じ。不安なのは美海と一緒」

「海里……」

「美海を失うのが怖い。そんなオレが、自分から美海を手離すキッカケになるようなこと、すると思うか?」

「……」

「美海に捨てられないように、必死なんだよオレ」

「あたしが!?海里を捨てる!?……そんなこと天変地異が起こったってない!!」


思わず立ち上がってしまったあたしに、海里はさっきとは違う深くて激しいキスをくれた。

そのキスからは、海里の不安が伝わってきた。

きっと海里にも伝わってる、あたしの不安。


お互いの不安を取り除くように、何度も何度もキスをした。

伝わった不安は絡めとって、呑み込んで。


その繰り返し。


長い長いキスを終えると、すっかりあたしたちの息はあがっていて。

お互い肩で息をしていた。


呼吸はまだ苦しいけど、だけど心はさっきよりも軽くなった気がする。

あたしの不安を海里が絡めとってくれたから。

海里も少しは軽くなったかな……


伝わった不安は、全部あたしが呑み込んだよ?


見つめあったまま、どちらからともなく微笑んだ。


「少しは機嫌直った?お姫様」

「まだ」

「え?」

「もっとキスしてくれなきゃ……直んない」


自分でも信じられなかった。

今の言葉を言ったのはあたし?


「美海……」

ほら、海里もすごく驚いてる。

急に恥ずかしくなって、少し目を逸らした。


だけど、さっき言った言葉は今のあたしの本音。

今すごく海里にキスしてほしい。

抱きしめてほしい。


きっと、そんな気持ちが溢れ出してしまったんだよね。