海は、ただひたすら階段を降りていた。何も考えず、玄関まで来てしまった。
「海、待ってて」
明に腕を掴まれた。海は立ち止まった。泣いているのを明に見られたくなかった。
「泣いてんの?」
明は言った。
「ごめん・・・ごめん」
海は謝っていた。
「謝らなくていいよ。分かってたから。海が好きなのは俺じゃないって。海の心には、いつも三浦が居たんだろ?」
明は優しく抱き締めてくれた。
「素直になれよ。ちゃんと自分の気持ち伝えろよ。お前が幸せじゃなきゃ、俺も幸せになれないから」
明は、海から体を離した。
「明・・・ごめんなさい」
「幸せになれよ」
明は笑った。明の笑顔が眩しかった。




明が背中を押してくれた。




明、ありがとう