海は、毎日のように遥斗を目で追っていた。話したいと思ったこともあった。でも、いつも遥斗の隣りは彼女がいた。遥斗が見ているのは、私じゃなくて彼女なんだ。思いたくなくても、思ってしまう。



そんなある日。海は、同じクラスの片瀬明（ｶﾀｾｱｷﾗ）に告白された。すごく悩んだ。明とは、よく話す男友達だった。いつも私のことを気遣ってくれていた。
「俺じゃ、ダメかな？」
明は言った。そのとき、海の脳裏に遥斗の顔が浮かんだ。
《遥斗にも彼女がいる。私がどんなに想っても、この想いは届かないかもしれない》
海は思った。
そして、海はO.K.した。遥斗への当てつけでもあった。




「海、本当にいいの？後悔しない？」
亜妃に言われた。
「うん」
海は答えた。
「そっか。海がそう決めたんなら、何も言わないよ」
亜妃は私のことを分かってくれていた。



毎日のように、明と帰っていた。明といると、遥斗のことを忘れられると思っていた。でも、やっぱり明といても、遥斗のことばから考えしまう自分がいた。


《明、ごめんね》
海は心の中で謝った。



明と付き合い始めて、一週間が経ったころ亜妃から、遥斗が彼女と別れたことを聞いた。