「見て見て~っ那緒先輩と璃緒先輩だよー」

「きゃあっ、やっぱ美男美女だよね」

「うんうん。2人並ぶとよけい迫力~」

理科室に行く途中後輩の教室の前を通った。

こんなのは言われなれてる。

自分で言うのもなんだけど、顔はいいと思う。

那緒も俺と双子だから顔は似てる。

でも、那緒はやっぱり女らしくてキレイだ。

周りと関係を持とうとしない俺と違って、那緒は社交的な性格だから後輩や先輩にも人気がある。

今話していた後輩達も那緒に話しかけてきた。

「那緒センパーイっっ」

「舞ちゃん、凛子ちゃんっ。どうしたの??」

「えとえと、センパイ今日の放課後暇ですかぁ?」

「ん~~、ゴメンっ!今日は璃緒と遊びに行く予定なんだよね」

そう。今日は俺の買い物に付き合ってもらうつもりだった。

でも、後輩と遊ぶのかと思ってたのに・・・。

「そうなんですか~、やっぱり仲良いですねっ」

「だよねっ!男女の兄弟って仲悪いって聞きますけど」

「そうなの?そんなことないよー!ねっ」

いきなり俺に話を振った那緒。

『いきなり話降るなよ!』

とか思いつつ答える俺。

「そうだね。俺達は仲良いよw」

調子に乗って言っちゃったよ。

「へぇ~なんかカップルみたいですねっw」

「そぉかも~w」

「それじゃあ、また今度遊びましょうねっ」

「うんっまたね」

那緒と後輩は手を振って別れた。

「璃緒おまたせっ行こっか」

「うん」

・・・目を合わせられなかった。



“カップルみたいですねっ”

“そぉかも~”

否定しなかった。

那緒にとってはノリで言ったことだと思う。

だけど、俺にとってはそんなことでさえも嬉しいんだ。

ねぇ那緒。

気づかなかったよね。

俺のテレ隠し。