俺はずっと、


みゅうのヒーローになりたい。


俺がみゅうの笑顔を守りたい。


出来ればずっと、みゅうの一番でいたい。


そう思いながら過ごしてきた。


もう、十何年そうやってきたのに。


出会って間もない本田先輩が、俺がずっとなりたかったみゅうのヒーローになってしまったような気がして、複雑な気持ちになった。


みゅうが俺を見てくれていることを俺は知っている。


かっちゃん!って笑いかけてくれるみゅうが俺を信頼してくれているのも知っている。


でも、本田先輩とじゃれあうみゅうが、本田先輩に好意を抱いていることも知っているから。


焦っているのか?俺は。


不安なんて、感じなくても俺がみゅうの傍を離れなければいいだけなのに。


このネガティブ思考は体の倦怠感のせい?


熱に浮かされているせい?


みゅうのために、って思ってたことは


もしかしたら全部、自分のためだったのかもしれない。




「かっちゃん、考え事してるの?」

「ん?!ちょっとトリップしちゃってたかも」

「熱のせいかなぁ?やっぱり学校休みなよ!明日ついてくから病院行こうね!」



俺の腕の中にいるままで振り向いたみゅう。



「ん・・ぅ・・」

「風邪、うつったらごめんね?みゅう」



上目づかいのみゅうが可愛くて思わずキスをした。



「えへへ、かっちゃんの風邪をもらえるのはあたしの特権なんだよ?だから・・もう一回して?」



本当、みゅうは俺の光だ。


ついさっき考えていたことは、みゅうの言葉でかき消されていく。


今目の前にみゅうがいて、みゅうが俺をみてる。


それだけでいいんだ。


それが、一番幸せだから。