「あの、かっちゃんが・・・東雲奏大がここに来ませんでしたか?」
かっちゃんが入院したと聞いて、居ても立っても居られない。
あたしに呆れてどこかに行ってしまったのなら・・・。
それなら、あたしが頑張らなくちゃって思ったの。
だけどね、入院したって何?
かっちゃんがあたしの目の前からいなくなってしまったのは・・・そのせいなの?
「ごめんなさいね、個人情報を教えることは出来ないのよ」
かっちゃんのかかりつけの病院にやってきたけど、かっちゃんの行方は分からなかった。
どこに・・いるの?
なんでこんなに不安な気持ちになるんだろう。
本当にこのまま・・・かっちゃんに会えなくなっちゃうのかな。
イヤだ。
そんなのイヤ。
「かっちゃん・・・どこにいるの!!どこに・・・いるのよ・・・」
もう三日、学校に行かずに探し続けているけど手がかりは何もつかめない。
久しぶりに帰ってきた家。
かっちゃんの弾いていたピアノに寄り添っても・・・かっちゃんの居場所は分からない。
三日三晩動き続けていたから、体力が限界かも・・・。
だけど、行かなきゃ。
あたしが見つけないと。
あたしが動かないと・・・何も始まらないもん。
もう一度、手がかりを探しに行こう。
そう思って立ち上がると、部屋の扉が開いた。
「おい、ブス。あいつの居場所なら俺が知ってるぞ」
・・・本田先輩。
そういえばここ最近本田先輩にも会っていなかった。
「どこにいるの!?かっちゃんはどこに・・・!」
「教えるかよ、アホ。こんなフラフラの状態で何が出来るってんだ」
「まだ・・・まだ大丈夫だもん・・・かっちゃんを・・・探す・・の・・」
そこで、あたしの意識は途絶えてしまった。