やっと校舎が見えてきた

見晴らしが良いからって、丘の上に建てやがったバカはどこのどいつだ?

十中八九、生徒手帳に載ってる創設者だろう

いい加減、息も上がってきた

涼からのメールは返信した甲斐もあってか、あれ以来こないのがせめてもの救いだ

校舎が見えてきても、校門は反対側

週末に自転車を買うことを堅く心に誓い
今はひたすら走る

校庭のフェンス周りを走っていると、不意に頭痛がした

なんだ?涼の呪いかなんかか!?

耐えられないほどじゃないが、頭の中に何かが埋まっているような圧迫感がある

「…―っつ」
思わず頭を振ってしまう
――ザッ
音がして、前を見ると、いつの間にか知らない女がいる
さっきまで、誰もいなかったよな?

まさか、頭痛が見せる幻覚か!?

いや、制服はウチの生徒

幻覚じゃない?

フレームの無い眼鏡をして、仁王立ちしてる姿はまるで風紀委員を連想させる

さっそく面倒だなぁ、と見てると

「やぁっと見つけた!遅刻なんかしてんじゃねーよ、バカ!」

なんか、言ってることは風紀委員っぽいが、態度と口は悪すぎだろ?

「はぁ、すいません…」遅刻したことは事実なので一応、謝っておく

「まぁ、いいか」
腕を組んで不適に笑う

おっと、まさか見逃してくれんのか?
この時点での甘ったるい考えは、後の0コンマ数秒で打ち崩される

「取りあえずアンタの力を見せてもらうから」

うーわー…