〜事務所〜
デジタル化したこの御時世の中で歪に黒光りする古風な黒電話の音が小さなマンションに響いた。
助手の富澤が細い腕を伸ばして受話器を取り耳に当てた。
「はい、こちら私立探偵ニート撲滅課です。」
しばらくすると富澤は電話を切りヒールの音を鳴らしながら俺が座るデスクに向かって歩いてきた。
どうやら、依頼が来たらしい。
「武田さん、久しぶりに依頼が来ましたよ。」
富澤は笑顔を見せながら武田に報告した。
「確かに久しぶりの依頼だな、依頼人は??」
と武田が聞くと、富澤は前髪が邪魔なのか左手で髪を耳に掛けた。
「依頼人は須藤好美(51)です。息子が二年前から働かず、部屋からも一歩も出ないらしです。」
「二年かぁ、これは手強そうだな。」
武田は顎に手を当てながら笑った。
富澤君の話だと依頼人の須藤好美は改めて今日の午前2時頃にこの事務所に来るらしい。
「午前2時か、まだ時間があるな。富澤君、人生ゲームでもするかい??」
富澤は武田の顔に向かって輪ゴムを飛ばした。
「コントローラーを握ってる暇なんてないですよ、この事務所が潰れそうなのに。しかも今、リアルな人生ゲームを味わってるじゃないですか。」
「上手いこと言うね、富澤君。だけど人に向けて輪ゴムを飛ばしたら駄目だよ。一応、俺は社長だし。」
富澤は深い溜め息をして自分のデスクに座った。
富澤君の言ったように、この事務所は経済的にかなりヤバイのだ。
普通の探偵すらあまり依頼が無いこの御時世に、ニート専門という特殊な探偵事務所にぼこぼこと依頼が来るわけないのだ。
武田がプレステーションの電源を入れようとした時、
「遅れてすみません〜」
と、バカ丸出しの声が事務所に満遍なく広がった。
デジタル化したこの御時世の中で歪に黒光りする古風な黒電話の音が小さなマンションに響いた。
助手の富澤が細い腕を伸ばして受話器を取り耳に当てた。
「はい、こちら私立探偵ニート撲滅課です。」
しばらくすると富澤は電話を切りヒールの音を鳴らしながら俺が座るデスクに向かって歩いてきた。
どうやら、依頼が来たらしい。
「武田さん、久しぶりに依頼が来ましたよ。」
富澤は笑顔を見せながら武田に報告した。
「確かに久しぶりの依頼だな、依頼人は??」
と武田が聞くと、富澤は前髪が邪魔なのか左手で髪を耳に掛けた。
「依頼人は須藤好美(51)です。息子が二年前から働かず、部屋からも一歩も出ないらしです。」
「二年かぁ、これは手強そうだな。」
武田は顎に手を当てながら笑った。
富澤君の話だと依頼人の須藤好美は改めて今日の午前2時頃にこの事務所に来るらしい。
「午前2時か、まだ時間があるな。富澤君、人生ゲームでもするかい??」
富澤は武田の顔に向かって輪ゴムを飛ばした。
「コントローラーを握ってる暇なんてないですよ、この事務所が潰れそうなのに。しかも今、リアルな人生ゲームを味わってるじゃないですか。」
「上手いこと言うね、富澤君。だけど人に向けて輪ゴムを飛ばしたら駄目だよ。一応、俺は社長だし。」
富澤は深い溜め息をして自分のデスクに座った。
富澤君の言ったように、この事務所は経済的にかなりヤバイのだ。
普通の探偵すらあまり依頼が無いこの御時世に、ニート専門という特殊な探偵事務所にぼこぼこと依頼が来るわけないのだ。
武田がプレステーションの電源を入れようとした時、
「遅れてすみません〜」
と、バカ丸出しの声が事務所に満遍なく広がった。