その日の夜、俺はジンに呼び出された。

「樹。淳から聞いたで。
佐々木美保を確認せんと帰ったらしいやないか。」
「はい。帰りました。」
「何でや?」

ジンが俺を睨む。

「…誰かがいた。
喫茶店で嫌な気を感じた。」
「!!?」
「多分、闇ノ使者か黒の契約者だと思う。」
「…奴らに気づかれたんか?」
「分からない。
だけど、その可能性は高い…」
「そうか…」
「佐々木美保の情報がもっと欲しい。」
「どないするつもりや?」
「俺はどんな相手でも
確実に仕事はこなす。
佐々木美保に近づく。」
「…分かった。
ちょっとまっとけ…」

ジンはそう言うと
何処かへ電話を掛けた。

「…あっ、淳か?
今からコッチにこい。
ええからはよせい!!
10分いや、5分でこい!!
ええな。」
「…淳と一緒ですか?」
「せや。前に言ったやろ…
今回は2人で動けって。」
「1人で大丈夫ですよ。
俺、新人じゃないし…」
「樹。俺が『2人で行け』って言ってるんや。お前はそれに従ってたらええ。」
「でも、いつもは…」
「俺の指示は絶対や。ええな。」
「…はい。」

久しぶりに見た。
ジンのマジ顔…
それにしても、今回のジンは少し変だ…
いつも以上に慎重だ。
そりゃ、闇ノ使者は面倒だ。
だけど、そんなに警戒する必要があるのか?
俺たちは鴉なのに…