「…着いた。はあ…」
ようやく、中庭に着いた。
雨はとっくに止み、
太陽が濡れた制服に
照りつける。
いつも寝ているベンチに
近寄り、ベンチの下を覗く。
「ん?」
そこには、ピンクの
ハンカチに包まれたものが
置いてあった。
ハンカチは、
さっきの通り雨で
かなり湿っている。
他を見ても、携帯はない。
ピンクのハンカチに
包まれたものを手に取り、
開いてみた。
「…あ」
その中には、俺の携帯が。
少し湿っているが、
異常はなさそうだ。
「良い奴に拾ってもらったな」
携帯に向かって呟く。
「…ん?」
もう一度、
ハンカチを見ると、
端に小さくだが、確かに
《ひなた》と
書かれていた。