“プルルル…プルルル…留守番サービスに…”
この声…何回目だっけかな。
受話器からは、
一向に人の声は聞こえない。
金だけが
減っていくばかり。
「あと3枚か…」
6枚あった10円は、
たったの3枚になった。
「頼む!」
願いを込めて、
残りの3枚を入れる。
“プルルル…プルルル”
…やっぱ無理か。
諦めかけたその時、
“プルルル…チャリン…ガチャ!”
1枚目の10円が
落ちる音と共に、
ガチャっと聞き慣れない
音がした。
『…もしも「やっと出た!」
受話器から聞こえた
小さな声を遮って、
喜びのあまり大声が出た。
「拾ってくれて、まじでサンキュー!さっきからかけてんだけど、誰も出なくってさ!」