「まじかよ…携帯落としちった」

家の近くの公園の
ブランコに乗りながら、
携帯を落としたことに
気付き、溜め息をつく。

俺は坂上高校2年。
三神 千尋(みかみちひろ)
スポーツなら何でも
いけっけど、
勉強は大の苦手。
だいたいの授業を
まともに受けてない。
おかげで、
昼寝は大の得意。
プラス思考が
俺の唯一の取り得だから。

「にしても…何処で落としたかなー」
軽くブランコを漕ぎ
昨日の一日の行動を
思い返す。
「…あーっ!考えんのだりぃー!」
ブランコから
一気に飛び降り
頭をかく。
「しゃーねー、こうなったらこれで頑張るか」
右のポケットから
10円6枚を取り出し、
無造作に置かれた
鞄を手に取り、
公園を後にする。

「…あった」
しばらく歩いて、
あやふやな記憶で
目当てのものを見つけた。
公衆電話。
早速中に入って10円を
3枚だけ入れた。