思わず携帯を拾い上げる。
拾い上げたと同時に、
曲は途切れてしまった。
着信が切れたのだろう。
誰のだろ…
どうしたらいいのかな?
その時、
♪~♪~♪
またさっきと同じ曲が
私の持っている携帯から
流れ出した。
「わあ!」
びっくりして
危うく落としそうになる。
なんとか落ち着いて
携帯を開いてみる。
画面には“非通知”と
表示されている。
「どうしよう…」
携帯を片手に、
おどおどする私。
もうしょーがない!
こうなったら…
「えい!」
覚悟を決め
通話ボタンを押す。
同時に曲は途切れ、
ピッと機械的な音がする。
恐る恐る携帯を
耳に当ててみる。
「…もしも『やっと出た!』
私の小さな声は、
携帯から聞こえて来た
私とは真逆の大きな声に、
かき消された。
『拾ってくれて、まじでサンキュー!さっきからずっとかけてんだけど、誰も出なくってさ!』