騒ぐ茜の隣で
私はただただ
彼の背中を見つめる。
周りでは
いつの間にか、
見慣れない女子達が
頬をピンクに染め
私と同じように
彼を見ている。
やっぱあの顔の
効果はバツグンだ…。
すると、
何人もの人が
見つめるその背中が
動いた。
同時に腕と頭が
上へと伸ばされる。
…起きた。
「…んあー!」
立ち上がり
大きな伸びをする
彼はなんだか
偉大に見えた。
キーンコーン
カーンコーン
チャイムが鳴り
廊下からゾロゾロと
人が消えていく。
…あたしも
座らなきゃ。
チャイムを聞き
再び席に座った
彼の横の自席へ
着席する。
次わー…
げ、数学ー。
テンションが
どんどん失せていく。
まあどっちみち
どの教科でも、
笑顔になんて
なれないんだけど。
「おーい、竹内!なんだそのやる気のない顔は」
先生、いつの間に…。
てゆうか、
何で私に絡む!
「元々がこーゆー顔なんだっつーの!てゆうかだいぶ失礼だろーが」
言ってやった。
…小声で。
成績には
異常を来したく
ないから。