「ほどほどにしとけよー。…じゃあ続き始めるぞ」
先生の一言で、
止まっていた時間が
再び動き出す。
私は、相変わらず、
彼の方を見たまま…
「…あ!」
我に返り、教科書を開く。
…この人も中庭行ったんだ
私の隣の席で寝ている
彼をチラ見する。
綺麗な寝顔…。
つい見とれる。
…あっ!
また!
集中集中!
顔をパチパチと叩き
やる気を出す。
「今日はここまで!」
「きりーつ!れい!」
日直が号令をかけ、
重苦しい授業は終了した。
「やっと終わったー」
席を立ち上がり、
伸びをする。
「ひなたー!ちょっと!」
茜が自分の席から
こっちへ向かって
手招きをしている。
「なーに?」
茜の席まで行き、
首を傾げる。
「何ってあんた!あの人だよ!さっき言ってたかっこいい人!」
例の彼を指差しながら
騒ぐ茜。