「ちゃんと届いたかな…」
今日は結局遅刻した。
教室に着いた時には、
登校時間を10分も
オーバーしていた。
でも、今の私の頭には、
遅刻のことなんて
浮かんでなくて、
朝の携帯がちゃんと
持ち主の元に
届いたのか
どうしても
気になっていた。
「なーにボーっとしてんの!」
そんなことを
考えていると
いきなり
デコピンをくらった。
「いったー!地味に痛いよ。茜!」
私にデコピンを
したのは、
中学からの親友の
新島 茜(にいじまあかね)
1年の時は、
惜しくもクラスが
離れてしまったんだけど、
2年は奇跡的に
同じクラスになった。
「だって陽向、さっきから外ばっか見て、ボーっとしてるんだもん」
「私、そんなにボーっとしてた?」
「うん。かなり…」
「ちょっと考え事ー。まあ大したことじゃないんだけど」
すると、茜が、
目を輝かせて、
身を乗り出してくる。
「何々!?恋のざわめきですか?」
「そんなんじゃないって」