「それだけでもうちは信じられんかった。あんなにお母ちゃんと仲良かったのに…。そんで、すぐにお父ちゃんとその女の間に女の子が生まれた」



「…妹、か?」



「そうや。今、小学生なんやけどな、これがまた憎たらしいんや。あの女一人占めしたいらしくて、じっとうちの行動見張っとんや」



「…うん」



「うちはあの女、母親やって認めた覚えもないからな、別に取らんっちゅうねん。それに、あの女……」






香織のかなり複雑な家庭事情を聞いた俺は、もっと真剣に話を聞こうと、パソコンの電源を切った。






「うちのご機嫌取りばっかり。いつもビクビクしながら『香織ちゃん、これはどう?あれはどう?』…って。ホンマおもろない」






パソコンの画面が黒くなったことを確認して、俺はそっとパソコンを閉じた。