なんでいきなり香織がこんなことを話し始めたのか、初めはよく分からなかった。





けど…





「うち、家族やケン兄ちゃんに意地張っとるだけなんかなあ…」





ポツリとつぶやくように言った香織の一言が俺の耳に届いた時、香織の心境が変化したんだということに気付いた。





あの時は俺に話すことすらためらわれたように見えたが、今なら話してくれるんじゃないのかと思った。





「…どうした?」





俺はあくまで無関心な態度で香織に尋ねた。





あんまり深入りしたら、また香織にはねのけられそうな気がしたから。