「おはよ~遅かったね」

一番最初に声をかけてくれたのは

友達の高橋沙恵(たかはし さえ)

沙恵とは中学も一緒でかなり仲がいい

「自転車パンクしてさ~」

「まじ?ドンマイじゃん♪」

沙恵は笑いながら言った


「あ!そーいえばね~」

さっき見たちゃら男を沙恵に報告しよっと

「ん?なに?」

なんで報告するかってゆうと…

「さっきね、中庭に――…」


「高松!本読め!!」


もうちょっとのところで担任の太田に注意をされた

大羽高校には朝読書の時間があるのだ


せっかく沙恵が喜びそうな情報を持ってきたのにー

あたしはふてくされながらも机の中から本を出し

この読書の時間を過ごした


キーンコーンカーンコーン


朝読書の終わりを告げるチャイムが鳴った

鳴ったと同時にクラス中の生徒が喋りだす


「うるさい!朝の学活やるぞー」


太田の注意なんて誰もきいていない


「ねぇ!さっき舞衣なんて言おうとしたの?」

沙恵があたしの机に身を乗り出して聞いてくる

沙恵はあたしの左斜め前の席なのだ

「あぁ…さっき中庭にね、あの人いたよ!いたってゆうか寝てたとゆうか…」

「あの人?」

「えっとね…名前が思い出せない」

「誰だれ?気になんじゃん!!」

宮内…じゃなくて宮本…じゃなくてぇ…!

「あの…えと…あ!」


「うるさぁぁあぁあい!!!」




太田の声が1-5の教室に響きわたった