「なんだろ、名前の並び?コイツぜってーいい奴だって思った」
「まだ話したこともなかったのに?」
「俺の直感。ナメんなよ?」
そう言ってニヤリと笑った。
「あ、藤咲陸」
「……フルネーム?」
「あ?あぁ、もう癖だな」
フルネームで呼ぶ奴ってのも珍しいよな。
せめて苗字か名前どっちかだろ……。
「陸でいいけど」
「じゃ、陸。お前歌好き?」
「え?歌?……コーラス部に入る気はないけど……」
「大丈夫、それは俺もない。ただ、普通に歌ってどう?好き?」
「……まぁ、それなりに」
なんだろう。
今のコイツの微笑みは、スゴい威力だった気がした。