それは数日後の部活の時間帯。


まだ仮入部の段階の俺たちは、いろんな部活を転々と巡っていた。

その時、彼を見つけたんだ。


音楽室の前で耳を澄まして聴いている、"宇崎要"を。


「入らないの?」


これが始まりだった。

彼はビクッとしてからこっちを向いた。


「あ、うん、まぁな」


焦っているような彼に、俺は笑った。


「……あ、お前、藤咲陸(ふじさきりく)じゃん」


……え?


「覚えてたの?」

「あぁ。なんかさ、キレイだなって思ったんだよ」

「キレイ……?」


そんなこと、初めて言われた。