初めて会ったのは教室。


自己紹介の印象が強すぎて、俺は覚えていたんだ。


「宇崎要(うざきかなめ)です」


・・・うざき?

なんかウサギっぽ……


「う・ざ・き、です。よろしくお願いします」


……どうやら、こういう思考回路には慣れているらしく、彼は二度言った。


きっと彼は今まで何度も言い間違えられて来たんだろう。

……あの耳の長い動物と。


彼とは教室では話さなかった。

特に話そうとも、思わなかった。


――でも、話すことになったんだ。