でもあたしは何も言わず走り続けた。
胸に引っかかるものがあった。
風真に迷惑をかけたくない。
そんな気持ちでいっぱいになってしまった。
美羽のときのように絶対に失いたくない人、風真。
風真がいなかったらあたしは美羽の死を受け入れられなかったと思うから。
感謝もして、信頼して、大好き。
そんなあなたはあたしにとってかけがえのない親友みたいなもの。





家に帰って窓辺に座って涼んでいた。
携帯を開くと梓からのメール。

  夏恋をもーっと可愛くしたいの!協力しますかあ?

あたしはフッと笑って文字を眺めた。
でも心は痛んだ。
あたしのために明るく振舞ってくれる梓。
梓にとってあたしを「夏恋」って呼び捨てで呼ぶのは大変なことだっただろう。
頑張ってくれている梓をあたしは知りつつ、見てみないふり。
あたしが梓を支えるってこともするから・・・・・・。 

  よろしく!!(^^)可愛くできるのかなあ??

あたしもテンション上げてメールをした。
可愛くなれるなんて思っていない。
ただ梓の期待にこたえたいだけ。
・・・・・・なんか、美羽といた頃と同じような気持ちを感じている。
そういえば、美羽と入れ替わりであたしの前に現れた梓。
もしかしてあなたは・・・・・・
美羽の分身ですか?
美羽の心はありますか?
そんなわけないね。
梓は梓。
美羽は美羽。
今、あたしに一番近い存在が梓なの。