自分でもびっくりしてしまった。
あたしは遥の事好きじゃないの?
とっさに言ってしまったが・・・。
あたしは焦って涙をぬぐって手を振った。
 「今のなし!!愛あるよ!すきだもん!こんなに!」
この言葉に違和感があるのに気づいてはいたが気づかないふりをした。
好きだっておもいこませた。
―コンコン―
麻那ちゃんがうつむきながらドアを開けた。
 「夏恋。美羽が最後・・・泣いてたの。辛かったんだよね・・・。」
麻那ちゃんの涙は綺麗だった。
ドアにもたれかかってひたすら涙をこぼしている。
 「辛いのは皆一緒だよお・・・。」
美羽の話はもう聞きたくなかった。
美羽の事・・・思い出したくなんかなかった。
美羽を思い出すとどれだけ辛いか。
約束守れなくて馬鹿なことして迷惑掛けて・・・。
きっと何一つ美羽の力になれなかった。
あの日誓ったはずだったのに。
 「分からないよ。麻那は夏恋が分からない。悲しくないの?さっきから遥ばかり。遥は生きてるんだよ?美羽はもう・・・いないんだよ?」
麻那ちゃんはあたしをにらんだ。
そのとおりだって胸が痛んだ。
あたしは何をしていたんだ。
友情より愛情を選ぼうとしてしまっていた。
本能のまま生きちゃダメじゃん。
美羽との思い出・・・振り返ると感謝だらけ。
こんなあたしに話しかけてくれて
仲良くなってくれて
居場所をくれて
大切にしてくれて
生きる希望になってくれて・・・。
あたしが何一つできなかったこと全部してくれた。
全部背負ってくれた。
 「麻那ちゃん。・・・あたし美羽に手紙書くね。」
それは天国で笑っている美羽に送る手紙。
どれだけ時間がかかってもいい。
美羽に読んでもらいたいな・・・。
あたしは麻那ちゃんから貰ったピンクのルーズリーフに美羽への気持ちを書いた。