「可愛すぎ!名前は?携帯持ってる??」
いきなり声を掛けられ戸惑ってしまった。
美羽のお姉ちゃんだよね?
見れば見るほど綺麗すぎる。
 「・・・・夏恋です。携帯はあります。・・・ここに・・・」
携帯を取り出した瞬間あたしの手元から携帯が奪われた。
 「送るね!」
そういわれ数秒後に携帯が戻ってきた。
電話帳を見ると「麻那」が増えていた。
 「お姉ちゃん馬鹿!夏恋になれなれしくしちゃだめ!」
美羽があたしにくっついた。
少し引いて照れながらも笑った。
 「なんだよお前ら。けんかすんなや。」
美羽のお兄ちゃんは冷静な人っぽい。
綺麗な顔立ちであたし好みのルックス。
モテそうな感じ。
美羽は兄弟にめぐまれてるね。
 「羨ましいなあ。」
小声でつぶやくと3人が同じ目であたしを見た。
 「そんなコトないよ!いっつも喧嘩ばっか!親いないからって調子乗りすぎなんだよねー。遥とかさ!・・・でも、夏恋がちゃんと住めるようにはするから!」
ますますいいと思ってしまった。
この家族はなんて素敵なのだろう。
親とか関係ない。
愛がある。愛を感じる。
優しさも、うれしさも、悲しさも、苦しさも、楽しさも、みんなで分け合っているような・・・・あたしの理想の家族。
あたしには叶わなかった、家族のカタチ。
 「あたしは本当に1人だったから・・・。美羽の家族はあたしにとってすごく憧れって感じなんです。これからご迷惑を掛けると思いますが、宜しくお願いします。」
深く頭を下げた。
 「顔あげなよ。」
美羽のお兄ちゃんに起こされ涙をこぼした。
 「これからは夏恋もここに住むんだから、家族なんだよ。」


あの言葉にどれだけ救われただろう。あたしの・・・・家族に。