みやびの声は冷たく、どこかよそよそしかった。「いや、どうしてもみやびの声が聞きたくなって。」間抜けなほどストレートな言葉だった。私は頭を抱えた。「今から出掛けるから。」みやびは冷たく言い放った。若い私はノックアウト寸前だった。
「忙しいのにごめんね。また電話してもいいかな。」破れかぶれの発言だった。「・・・」沈黙の時が流れた。ダメかな、これは。私は絶望感にとらわれた。「いいよ。」予想外の言葉が受話器の向こうから聞こえてきた。「じゃあ、またかけるよ。」私はみやびの気が変わらぬうちに電話を切った。逆転サヨナラ満塁ホームランだ。