「お邪魔しまーす。」俊ちゃんの声だった。二階に上がってきて、私の部屋に入ってきて、くだらない話をはなし始めた。おかしい。私の記憶が確かなら、もう一人、太一郎という友達が遊びに来るはずだった。しかし、太一郎は一向に来る気配がなかった。
「ちょっと外に行こうぜ。」若い私は、俊ちゃんを誘った。二人は肩を並べて、昼間と間違えるくらい月明かりで明るい海までの道を歩いた。