「それもおかしいでしょ」


その日ってあり得ない。
だって……えぇ。
絶対ないよー!!


「まぁ……人それぞれだと思うけど」


そう言ってスナック菓子を口に入れた。


人それぞれ……。
そうなんだろうけど。
でもやっぱり、発展しないっていうのは不安だ。


だって好きなんだよ?
好きだから付き合ったの。
好きだったら、もっと触れたいとか。
もっと傍にいたいとか。
思うものなんじゃないのかな?


吉馬から告白してきた。
吉馬の方が先に好きになってくれた。
でも……。


「今は……あたしの方が吉馬を好きな気がする」


机に顔を伏せてボソッと呟く。
するとそれに気付いた沙耶は、困ったように笑ってあたしの頭を撫でた。


好きになったのは吉馬が先。
告白してきたのも吉馬。
でもきっと吉馬の“好き”よりあたしの“好き”の方が今は大きい。


ねぇ。吉馬……。
もっと好きって気持ちあたしに感じさせてほしいよ。
吉馬がちゃんとあたしを好きでいてくれてる証拠がほしいよ。


「うぅ……」


机に倒れ込んだあたしの目に涙が滲む。
するとスナック菓子を食べながら周りを見渡した沙耶はあたしを見下ろした。


「あいつ等は……希と相良ヤッたと思ってるよ?」


そう言ってあたしを見つめるあたしに告白してきた何人かの男子を見ている。


そう言われたって……。
ヤッてませんよ!!
未だにヴァージンですよ。
処女よ!処女っ。